損をしない看護師の退職方法

「よし、この職場とはもう完全に縁が切れたぞ」と思って、意気揚々と退職に向けて手続きを勧めているとする。辞めるほうとしては早く辞めたいし、辞められるほうとしては早く辞めてほしいから、特に退職時について細かい注意事項、他の選択肢、手続きに適したタイミングなどを教えてくれないことが多い。

 

しかし、私からすれば「いやいや、ちょっと待って!もしかしたら損してない?」と思うことがある。今回は、退職の手続きを行う前に知っておくと損をしない方法についてお話していく。

 

看護師退職のコツ

 

ひと言で「退職」といっても「自己都合」「出産や育児」「病気」「定年」「病院都合」といった退職理由はさまざまで、それに応じて手続き方法は異なる。

 

・自己都合での退職

 

そのため、まずは自己都合の損をしない退職方法について述べていく。自己都合で退職する場合は、職場の就業規則に「退職は〇ケ月以内に申し出ること」といった記載が無ければ、民法上、2週間前に退職願を提出すれば雇用契約は終了となる。
 
自己都合で退職する前に事前に担当者に確認しておきたいことは、「住民税」と「健康保険の任意継続」である。住民税は、1〜5月に退職すれば、5月分までの住民税は一括で給与天引きが可能であるが、6〜12月に退職すれば、個人で納付しなければならない。退職後、市区町村で普通徴収の切り替えをしなければならない。

 

健康保険は、このまま任意継続した場合、具体的にいくらの金額になるのかを担当者に聞いておけば損をしなくて済む。一般的に国民健康保険に切り替えたほうが負担額は増加することが多い。もし、配偶者が会社勤めであれば、扶養家族として健康保険に加入できることもある。この場合は、配偶者の会社に確認しておくとよい。

 

・出産・育児で退職

 

次に出産・育児で退職する場合についてお話する。こちらは自己都合の退職時と同じく、退職後は、どの健康保険に加入するか選択する必要がある。ちなみに出産手当金という「産前6週から産後8週の間の休業補償金(計98日分、給与の3分の2の金額が支給される)」は国民健康保険にはない制度である。

 

出産手当金は要件さえ満たせば、退職後も受給することができるため、事前に担当者に確認しておくとよいだろう。

 

また年金保険も、配偶者の扶養家族に入ることが可能であれば、第3号被保険者となり、自己負担しなくてもよくなる。失業保険は、出産により働けない期間は受給することができないが、産休後に体調が回復した後であれば、受給が可能となる。失業保険を受給するには、退職後、受給延長の手続きをしておくと、受給延長期間が1年から3年にすることができるので、覚えておくとよい。

 

病気が理由で退職する場合、一番知っておきたい事柄は、「傷病手当金」という休業補償制度である。こちらは休職中であっても、退職後であっても、在職中の給与の3分の2を支給することが可能なのである。

 

条件としては、病気やケガで療養を行うために4日以上連続して働けず、給与が支給されない場合にもらうことが可能となる。最大で1年6ケ月の間、健康保険料の負担をすることなく傷病手当の補償を受給することが可能となっている。

 

また出産・育児のときと同様、失業保険も1年から3年に受給期間を延長することが可能であるので、「病気やケガで療養中ですぐには働けない旨」をハローワークに伝え、受給期間を延長してもらうと良いだろう。

 

・定年で退職

 

定年で退職する場合について、次に述べたい。そのまま定年退職するのか、継続雇用を希望するのかという選択肢がある。もし、継続雇用を希望するのであれば、労働条件や給与額について確認し、納得したうえで仕事をしなければならない。この確認をしないでおくと、労働条件は変わらず、他の若い看護師と同じように働くけれど、給与だけが下がるといったトラブルが起こりうるからである。

 

また、「退職金はどの程度であるのか」を担当者に確認しておけば、老後の生活設計が立てやすくなる。さらに、年金事務所で定年退職後の年金受給額を聞いておくと、具体的な老後の設計が行える。

 

退職後は、老齢厚生年金と失業保険のどちらかを受給することが可能である。両方を受け取ることができないため、どちらがより金額が高いか事前に確認しておくとよい。多くの場合、失業保険のほうが高額になるとされている。

 

リストラで退職する場合、一番注意しておきたいことは、職場から「退職届」を出すように指示があっても、決して退職届を出してはいけないということだ。退職届を提出してしまうと、自己都合で退職したことになり、失業保険の受給が不利になってしまう。自己都合で退職するのではないことを証明するため、解雇通知書や退職理由説明書などを貰っておくとよい。

 

・リストラで退職

 

リストラで退職となった場合、失業保険は自己都合退職よりもかなり優遇されるため、上記の書類を必ず準備しておくことが重要である。

 

退職金についても、退職金規定を確認し、計算方法や金額について担当者に説明してもらう必要がある。

 

最後に派遣看護師などが、契約が更新されず「雇止め」となった場合についてお話しておく。派遣契約時に、「契約更新あり」と書かれているのに契約が更新されなかったり、契約時に3年以上の契約期間があるにもかかわらず、契約途中で打ち切られたりした場合、これはリストラ扱い、つまり雇止めとなる。

 

雇止めはいろいろなケースがあり、これをハローワークに説明するのが困難な場合もあるので、なぜ雇止めになったのかは、「離職票」に具体的に記載し、誰が読んでも分かるようにしておいてもらうことが大切である。

 

退職するとなると、「一刻でも早く次の職場に移りたい、この場所をすぐにでも去りたい」という気持ちから、退職時の手続きを適当に済ませてしまう人が多い。しかしこのようなことをしてしまって、損をするのはあなたなのである。退職時こそ、しっかり内容を理解するまで説明してもらい、損をすることがないよう、気をつけなければならないのである。