保健師の将来的な役割とスキルアップについて

「保健師とは、将来的には必要な職業なのだろうか」と思う人も多い。なぜなら、看護師は病気や疾患に関する仕事だから社会には必要だけれど、保健師は健康な人が対象となるため、あまり社会に必要ではないのではないと感じる人もいる。

 

確かに保健師は、看護師のドラマのように主人公が華々しく活躍する仕事ではない。しかし、今後の日本社会では保健師は必要な職業であることを認識して、保健師に転職を考えてもらいたい。

 

そこで今回は、保健師は日本で将来的にどのような位置づけであるのか、どのような役割を果たしていくのかについてお話していきたい。

 

保健師の位置づけ

 

日本は多額の医療費により財政が圧迫されているのは周知のとおりである。2017年の時点で、医療費は40兆円を超え、年々最高額を更新し続けている。その一方で、現役世代の人口は減少し、一人当たりの負担が増大してきている状態にある。

 

2060年には高齢者は全人口の40%を超え、高齢者1人を現役世代1.3人で支える必要がでてくるのだ。この高齢者には、医療費だけでなく、介護費も必要となってくる。例えば、高齢者施設、老人ホーム、デイサービス、デイケアを設立するお金のほか、スタッフの費用も運営費も必要となる。国が補助金も出さなければ、これらの施設は運営していくことは困難な状況である。高齢者が増えれば、税金を投入する必要がでてくる。

 

生きとし生けるものは、必ず年を取る。年をとることにより、身体は弱くなるのは当然のことである。しかし、できるだけ医療費がかからず、介護を必要としない高齢者が増えてくるとするとどうだろう。

 

予防できる生活習慣病を早期に発見し、対策を取る。そうすることで、自宅でも健康に過ごすことができる高齢者が増える。そうなれば、医療費や介護費の出費を減らすことができる。

 

さらに、健康をできるだけ長く維持した状態で、イキイキとしている高齢者に出会うと、現役世代もまた「年を取るのも悪くない」と考えることができる。年老いて背中を縮こまらせて、しゃべり方もぼそぼそしていて、社会に対して文句ばかりを言っている、年を取ることがまるで「社会的悪」のような高齢者の姿を見せられているばかりでは、現役世代も老後のことを考えると嫌気がさしてしまうであろう。

 

その点、元気で活発に活動をしている高齢者は日本社会を明るいものに変えていくのである。笑顔で孫の面倒をみる高齢者、楽しそうに趣味に興じる高齢者など「このように楽しく年を取ることができるのだ」と思わせてくれる高齢者が増えるに越したことはない。

 

そういった社会全体を明るく活発にしていくのが、これからの保健師の役割だといえるのではないだろうか。
2006年に介護保険制度が改正された。このことにより、地域包括支援センターが全国に作られ、高齢者の問題に耳を傾ける施設ができた。さらに2008年には、特定健診や特定保健指導を行うようになった。保健師の需要は減るどころか、増える一方なのである。

 

高齢者以外の健康問題も重要

 

さらに現代の日本では新しい健康問題が取り巻いている。高齢者の増加だけでないのである。

 

例えば、若者のうつ病、引きこもり、虐待、自殺の低年齢化の増加といった精神的な問題、エイズやジカ熱、食中毒、新型インフルエンザ、外来種の増加による生態系への影響といった健康被害なども保健師が担う問題となってきている。

 

さらに、昨今の異常気象に伴う大規模災害が頻発に起こるようになり救助活動も多くなっている。避難所の衛生面を管理し、感染症対策や健康面での予防を行うのも保健師の努めといえる。今まで以上に、現代人は健康被害を受ける可能性が高くなってきているといえるのである。

 

今後、保健師は、日本人が抱える健康被害を食い止めるために舵をきる役割を果たすことが望まれているのである。

 

いままでは、病気やケガをすると「病院で治療を受ける」というのが一般的であった。しかし、それでは、原因を根本解決したことにはならない。病気になる、治療を行うといった行為を繰り返しているだけでは、病気そのものを減らすことにはつながらないのである。

 

病気を減らすためには、病気そのものから縁遠くなる健康的な体作りを目指していくことが大切だ。

 

さらに、今後の保健師の役割として、個々の人々の健康問題に着目するのではなく、地域全体にも目を向け、新たな健康課題を発見し、地域をあげて健康問題に取り組むことが必要といえる。

 

保健師の需要は大きい

 

このように将来的に、保健師は需要がどんどん増えてきている状態にあるといえる。そのため、市町村や都道府県、企業、学校といった定番の保健師の他にも、フリーランスといった道も活躍の場が広がる可能性があるのだ。

 

今でも例えば、保健師の需要があるところといえば、中小企業の保健師という枠だ。大企業では専属で保健師を雇っているところが多いが、中小企業の場合、予算の都合上、専属の保健師を雇うことができない企業が多い。そのような中小企業と複数提携し、フリーランスの保健師として活躍できる可能性があるのだ。保健師がその中小企業と提携することで、職場の環境改善の提案が行えたり、労働者の健康を促進したりすることにつながる。

 

ほかにも、独立起業して、保健師として働くことも可能となってきている。例えば「ケアプロ」という会社があるのだが、この会社はセルフ健康チェックサービスを行い、健康促進を図る事業を展開している。500円で、血糖値やコレステロール値といった生活習慣病や骨密度といった健康に関する検査を行うことができるのである。保険証や予約が必要でないため、自分で気軽に気になる値について知ることができるため、健康維持にはもってこいのサービスといえる。

 

このように保健師としての活躍の場は、個人的に事業展開できるほどに需要が広がっているといえるのである。

 

すぐに実行に移すには難しいかもしれないが、今後、このような展開を行っていく保健師が増えることが予想できる。そのためには、今あなたは何をしなければならないのか、先を読み、時代の流れに沿えるよう、準備をしておく時期がきたのではないだろうか。